
真偽不明な怪情報やフェイクニュースが世に溢れネット上で拡散され、真実が覆い隠される現代社会のカオスな実情をリアルに痛烈に描いた衝撃の社会派ドラマ、映画『#拡散』が2026年2月27日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開!
主演・成田凌さんの妻役として、物語のキーパーソンともなる明希を演じた山谷花純さんのインタビューをお届けします。
「世間に影響を与えるニュース記事もどれが真実なんだろうと見方が変わった」
Q:最初に『#拡散』の台本を読んだ時、明希にどんな印象を持ちましたか?
もっと上手にまっすぐに生きればいいのに寄り道ばかりして、より複雑な生き方をしてしまっていて、承認欲求の提示の仕方が人よりもちょっと不器用な女性だなと思いました。同性から見ると、客観的には可愛いなと思うけど、近い距離で見たら、きっと居心地があまりよろしくない子なんだろうなという印象を持ちました。
Q:明希は演じやすかったですか?
演じ…やすくはないですね。どの役も挑戦でまた違った悩みや葛藤はあリます。そもそも私自身がSNS配信やYouTubeとかをやってるわけでもなく普段あまり見ないんですけど、クランクイン前にインフルエンサーさんの気持ちってどうなんだろうというのを配信者の方々の投稿を見ながら、ちょっと気持ちをたぐり寄せて準備させていただきました。
それが自分自身もあらためてSNSとの関わり方を振り返るきっかけにもなって、今まで何気なく流し見してた投稿が、これはどういう気持ちとタイミングで投稿したんだろうってその裏側の部分まで考えたりもして。世間に影響を与えるニュース記事もどれが真実なんだろうと見方が変わりました。
Q:完成した映画をご覧になった感想はいかがでしたか?
邦画の中ではとても珍しい、いろんなジャンルがギュッと詰め込まれたすごく賑やかな作品になっていました。邦画の良さでもある日本の自然の美しさも生かされていて、新しいジャンルの映画が生まれたなと思いました。音楽も、心情のざわめきや役の心がブレている時にかかるものがすごく絶妙だったなという印象があります。

Q:山谷さんはご自身が撮影された実感よりも、映画を観て、明希の存在感がもっとある感じがしませんでしたか?
やっぱり映画が出来上がるまでは、遺影がそこまでフィーチャーされてるとは思いませんでした。遺影は予告でももちろん登場してるし、台本に“遺影を持った“というト書きはあったけど、アップで遺影があるのを知らなかったので、そこにお芝居をしてる私がいるわけではないのに私が映ってる!と思って(笑)、ありがたいと思いましたね。物語が進むにつれて明希の存在は薄くなって信治の方が強くなるのかと思ったら、並行して一緒に歩んでくれていたので面白い遺影の使い方があるんだなと思いました。
人は嬉しいことの方がすぐに忘れてしまって、嫌な感情や忘れようとしてることこそ、より強く残るってありますよね。それが、ちゃんと具現化して映像として残されているのはすごい手法だなと思いました。
Q:明希の遺影の撮影では通常のスチール撮影とはまた違う感じで特別なリクエストなどがあったりしたのでしょうか。
本読みを皆さんでやらせていただいた日に遺影の撮影をしたんですけど、すごく作り込んで撮影したのではなく、今回の制作会社さんの事務所で撮りました。心持ちとしてこれは遺影だというのはあって、多分すごく大切になるとは思っていたんですけど、時間も押していて割と流れの中で撮りました。

Q:夫・信治とともにクリニックを訪れた明希がワクチンを打つシーンは、実は明希はどんな心境だったと、山谷さんは個人的に思いますか?
過去と現在が入り組んだシーンだなとは思っていました。でもそこで主張しすぎると、物語の後半に何か展開があるのかなみたいな、映画を見慣れてる方にはヒントを与えすぎてしまうシーンになると思ったので、特別なシーンにしないようにしようと思ってました。後から振り返って、結構大事なシーンだったんだと思ってくれるぐらいのひとときになればいいな、と。あまり表情に出さないようにしよう、心の中で思ってることをぎゅっと握りしめてすごくちっちゃく凝縮して、なんなら隠そうと思ってやってました。
Q:そこまで考えていらしたのですね。
役者は考えるのが好きですからね。台本に書かれていない部分をどれだけ想像して可能性を広げて、手持ちのカードをいっぱい持っていざ現場に行って、さあどのカードを使おうというまでがお仕事だと思っているので。それを作る工程はなかなかお客様には感じてもらえなかったり見てもらえなかったりする部分ではあるんですけど、映画をやるとそれが醍醐味だなとあらためて思います。
Q:夫婦役の成田凌さんとの撮影で印象に残っていることを教えてください。
特に今回の物語のラストシーンは成田さんご自身もすごく考えて撮影されてたし、妥協しないで納得いくまで各部署のスタッフさんたちとお話されながら、本当の(監督が出す)“OK!“とは何なのかを突き詰めて現場にいらっしゃっていました。成田さんは作品の大小とか関係なくもの作りがすごく好きな方だし、情熱を持って向き合われる方なんだなという印象です。
現場ではあまりお話しなかったんですけど、役柄的にもそんなに話さなくていいかなって。仲いい役でもないし冷め切った感じを出すのにも、きっと少し気を遣い合ってるぐらいの方がちょうどいいだろうなと私個人は思ってたので、関係性を深めるとかはあまり意識してなかったですね。いい距離感で夫婦を演じることができたのかなと思います。
Q:映画タイトルでもある“拡散“というワードから、山谷さんご自身はどんなことを感じますか?
ポジティブな拡散は人に幸せを分け与えるすごくいい拡散だと思うんですけど、この世の中、悲しいことに人のことを貶めたり欠点を出したりした時の方が拡散されますよね。その差があまりにも大きいなと思って。もっと優しい気持ちを持ったり相手の立場に立って気持ちを考えたりする人が増えたらいいなといつも思います。SNSもいい活用方法がもっと生み出されていったらいいなとあらためて思いますね。

「『#拡散』をご覧になった方の帰り道がいい意味で引きずる時間となったらいいな」
Q:役に入り込んで抜けられない時や作品が重なる時、自分自身を取り戻したい時などにいつもどのように気持ちを切り替えていますか?
毎回髪を切るのがルーティーンになってますね。切り替えに関しては、年が上がるにつれて向き合っていかないといけない職業だなと思います。やっぱり作品が終わる前に次が始まるし、並行してどんどん次が来るという数年間を、ありがたいことに過ごさせていただいてる中で、去年久しぶりに舞台をやったんです。すごい膨大なセリフ量で、次のセリフが入らなくなっちゃったことがあって。自分の頭の中のキャパがなかなか空かなくて、すごく単純だけど、見た目を変えないと、と思って髪を切りました。10代の頃はバサッとショートにするとかよくやってました。それは着ている服を脱ぐ、みたいな感じに近いのかもしれないです。でも、今だんだん美容院の椅子に固定されてる時間がストレスに感じるようになってしまって、もっとやることがあるのに早く終わって! と思うようになってきてしまいました(笑)。
Q:頑張った時の自分へのご褒美はありますか?
あまり物に執着がない人間ではあるので、ご褒美に何かいいもの買うとかはないんですけど、美味しいご飯食べることやお酒がご褒美になりますかね。お酒は好きです。居酒屋に行って一人カウンターで過ごすのはご褒美時間ですかね。
Q:日頃行ってる健康と美を保つためのルーティーンがあれば教えてください。
食事も大事だと思うんですけど、一番健康でいられるのって、心が健康じゃないと全てのバランスが崩れると思ってます。バランスの取り方は人によって絶対違うと思いますが、なるべくコップがいっぱいになる前にどこかで吐き出したりするようにしていて、ストレス溜めすぎないとか人に気を遣いすぎないとか、心の健康をすごく意識してますかね。こういうお仕事をしてるので仮面をもって人と接した方がいいと思うんですけど、それもストレスだなと思っちゃって、もうすっぴんで接するみたいな。頑張りすぎないことを心がけてます。
Q:これから『#拡散』を観る読者へメッセージをお願いします。
何が正解で何が嘘なのか、真実は何なのかってすごくわからなくなってきてしまってる時代に『#拡散』という映画が公開されるんですけど、観た人たちに、周りに左右されない心の奥底にある本当の価値観や好きなもの、疑問に思うことというのを、あらためて自分自身と向き合うきっかけになる作品になったらいいなと思います。ご覧になった方の帰り道がものすごくいい意味で引きずる時間となったらいいなと思ってます。
インタビュー・テキスト:CulTame com(カルタメコム)編集部

PROFILE
山谷花純 Yamaya Kasumi
1996年12月26日生まれ、宮城県出身。ドラマ『CHANGE』(08/フジテレビ)で俳優デビュー。ドラマ『あまちゃん』(13/NHK)『トットちゃん!』(17/テレビ朝日)、主演映画『シンデレラゲーム』(16/監督:加納隼)などの話題作に出演。映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18/監督:西浦正記)では末期がん患者役に丸刈りで臨み注目される。その後、『鎌倉殿の13人』(21/NHK)『親友は悪女』(主演/21/テレビ東京)などに出演。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』(20/監督:宗野賢一)にてマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。

映画『#拡散』
STORY
地方の小さな町で静かに暮らしていた介護士・浅岡信治(成田凌)は、妻・明希(山谷花純)がワクチン接種した翌朝に亡くなったことから、担当医・高野(渕上泰史)に対する抗議活動を始める。その姿が記者・福島美波(沢尻エリカ)の目に留まり、メディアからSNSへ、リアルからネットへと火がつき、浅岡の意思とは裏腹に“反ワクチンの象徴“へと祭り上げられ、浅岡自身もやがて別の人物へと変貌していくーー。
原案・編集・監督:白金(KING BAI)
脚本:港岳彦
キャスト:成田凌、沢尻エリカ、淵上泰史、山谷花純、赤間麻里子、船ヶ山哲、鈴木志音、DAIKI、MIOKO、高山孟久ほか
制作プロダクション:株式会社白菜娯楽
宣伝:プリマステラ
配給協力:チームジョイ株式会社
配給:株式会社ブシロードムーブ
ノベライズ版『#拡散』(プレジデント社) 港岳彦著
2026年2月27日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
映画公式サイト:
https://kakusan-movie.com



