
川島如恵留(Travis Japan)が単独初主演を務める舞台『すべての幸運を手にした男』が、2025年11月14日(金)に東京グローブ座で初日を迎えた。
世界を代表する劇作家アーサー・ミラーの初期の傑作戯曲で、1944年にニューヨークで世界初演された本作が、新訳でついに日本初演が実現した。主人公のデイヴィッド・ビーヴスの人生に次々と思いがけない幸運が訪れる。まるで「幸運そのもの」のような存在で、どんな困難にも打ち勝ち、失敗することがないかのように思えたが、その幸運が続くうちに、そのことに対して不安を感じ始めるようになった。運命と人間の意志はどのように相互作用するのか。構成や登場人物の成長に、寓話的な構造を取り入れながら、愛と不安、希望と孤独が交錯する人間ドラマを描き出していく。
初日公演前にマスコミ取材陣にゲネプロを公開。囲み取材も行われ、主人公のデイヴィッド・ビーヴス役の川島、ビーヴスの恋人へスター・フォーク役の花乃まりあ、兄のエイモス・ビーヴス役の大野拓朗、父のパターソン・ビーヴス役の羽場裕一、そして演出を担当したリンゼイ・ポスナーが登壇した。
登壇した5名はそれぞれ初日を迎えた心境と意気込みを伝えた。
川島如恵留「本日、初日を迎えるということで、とてもとても楽しみです! 舞台上では我々はマイクを使わずに地声で、生の声でお届けする形の作品となっております。声を最後の一滴まで全部絞り出していきたいと思いますので、よろしくお願いします!」
花乃まりあ「リンゼイさんの温かいご指導のもと、とっても濃厚で楽しいお稽古を重ねてまいりました。今日、皆様に観ていただけるのがとても嬉しいですし、楽しみです。風邪も流行っている季節ですので、最後まで健康に注意して駆け抜けたいと思います」
大野拓朗「ようやくこの日を迎えることができて本当にうれしく思います。この作品を観に来てくださった皆さんに、素敵な時間を過ごしていただきたいなと思います。叫ぶシーンも多いので、みんなで喉や⾝体をケアしながら、100%、120%の舞台を連⽇皆様にお届けできるように全⾝全霊頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」
羽場裕一「長い長い長い稽古を経て、やっと今日初日が開けますが、このお芝居を観に来ていただいた方に幸運を手にしていただければと思っております。よろしくお願いします」
リンゼイ・ポスナー「本日、ここで開幕を迎えることを嬉しく思っております。こちらにいらっしゃるみなさんをはじめ、本当に素晴らしい俳優の皆さん、そして素晴らしいスタッフの皆さん、プロデューサーの皆さんと、始めから今日に至るまで毎日毎日が本当に嬉しい素晴らしい日でした。本日、皆さんが楽しんでいただけることを楽しみにしております」
今作は川島にとって初の単独主演作となるが、「昨日までは、初日を迎える今日は緊張の渦に巻き込まれているんじゃないかと思っていたんですが、いざこうして初日を迎えて、ステージに立ってみると、緊張の“き”の字も無くて、すごく楽しみでワクワクしているんですよ。それもそのはず。すごくたくさん準備をしてきたので何も怖がることがないんです。そして、このステージ上で二度も衣裳付きの通し稽古をさせていただいて、誰も不安なことなく、しっかりとした気持ちで臨めるということが自信につながっているので、怖さは全く無くて、すごく楽しみでございます」と、初日当日になって“不安”がなくなったと明かし、「初の単独主演を『すべての幸運を手にした男』という作品でさせていただけることに、本当に幸運を感じていますので、12月2日までの全公演を楽しんでいきたいと思います」と笑顔を見せた。
主演ということで“座長”でもある川島は「僕、座長らしいことしてます?」と共演者に聞くと、羽場が「明るくていいんじゃない」と答え、⼤野も「ポジティブだよね。リンゼイさんからのノートの全てを受け⽌めて、絶対に消化してやってやる︕って感じだったり」と川島の座⻑っぷりを絶賛。それを聞いた川島は「それは、感覚としては“Travis Japan魂”なんです。Travis Japanというグループが『全部を受け止めて、それを全部形にして成長していこう』というメンバーが集まっているので、それがこのカンパニーに少しでもいい影響をお渡しできていたらいいなと思います」とTravis Japanでの活動が今回の作品にも活きていることを実感。
演出のリンゼイ氏は、「“主演”の川島はどう見えたのか?」という質問に「本当に酷(ひど)かった。冗談です(笑)」とジョークで場を和ませて、「如恵留さんとのコラボレーションは楽しかったですし、いい関係が作れました。僕からの演出に対してもとてもオープンだったし、細かくディテールまで応えてくださって、素晴らしい稽古時間を過ごすことができました。そして、稽古を通して如恵留さんがすごく成長して、どんどん役を掴んでいく様を見るのも嬉しかったですし、常に完璧を求めて稽古をしている姿にも感心しました」と称賛。リンゼイ氏の嬉しいコメントを聞いて、川島は「いい質問ありがとうございます!」と上機嫌に。
デイヴィッドの恋人という重要な人物“へスター”を演じる花乃には「へスターの魅力的な部分は?」という質問が投げかけられ、「この作品に登場する人物はみんなそうなんですけど、へスターも台本に1ページくらい、役に対する細かいト書きがありまして、ヘスターの場合は『走るのも速く、水泳も得意、重い物だって持ち上げる』と書いてあるんですけど、私は全部苦手で、最初はどうしようかと思いました(笑)。唯一共感できると思ったのは『笑い声は大きく、喉から響く』で、これは自分と似ているかなって思いました」と答えた。
本作の見どころについては大野が「この作品は、皆さんの人生において、誰しも起こり得るというか、誰しもが直面するであろう“運”と“努力”と、そこの葛藤を登場人物たちみんなが直面したりして進んでいく物語だと思うんです。観てくださる皆さんも共感できる瞬間が至る所に散りばめられていると思いますので、登場人物たちの葛藤だったり、祈りだったりとかに気持ちを寄り添いつつ、この作品を楽しんでいただけたらと思っております」と真剣な口調で答えた。
川島が「深いですよね」とその考えに共感すると、大野は「人間の心理を描き出すのがアーサー・ミラーの真骨頂だと思うんですけど、それが存分に散りばめられているのでぜひ楽しんでいただければ」とアピールした。
和気あいあいとした雰囲気で囲み取材が行われていたが、稽古場の雰囲気について聞かれると、羽場は「意外と、稽古中はみんなストイックで、無口でコツコツと台本とにらめっこしていましたね。この囲み取材のような和やかな感じになるのは休憩中のほんの10分とか15分くらいで、あとは本当にストイックでした。いい意味で、稽古場の空気は重かったです。真剣でした」と、出演者全員が真剣に作品や役と向き合っていたと伝え、川島も「“必死さ”という言葉が近いんです」と稽古時を回顧。
また、作品にちなんで「最近の幸運な出来事は?」という質問も。川島は「スーパーで一週間分くらいの買い物をしたら、税込で7,777円でした! グループのメンバーも7人だし、7という数字に思い入れがあるのでうれしかったです」と答えた。花乃は「最近自転車に乗っていて、自転車ごと倒れたんです。稽古期間中にこけたんですよ。でも無傷だったんです! だから不幸中の幸いだったのかなって思いました」とアクシデントに遭ったことを告白。大野は「昨日、一円玉を拾って、そのあと10円玉を拾いました。次は50円玉ですかね?(笑)」とニッコリ。羽場が「昨日、劇場に来る前、家のソファーで横になってたら、今まで全くなついてなかった猫が足元に来て寝てくれました。これはちょっと嬉しかったですね」と話すと、共演者たちから「かわいい!」という言葉が漏れた。
最後は主演の川島が「カンパニー一同、キャストもスタッフの皆さんもみんなで長い時間をかけて、この東京グローブ座さんで共演できることをとても楽しみに頑張ってまいりました。ラストワンピースを埋めるのは客席に来てくださる皆様です。皆様にこの劇場の客席を綺麗に埋めていただいて、そして素敵な幸運を持ち帰ってもらえたらいいなと心から思っております。みんなでこの東京グローブ座からから“幸運”を世界中に広げられたらいいなと思っておりますので、よろしくお願いします」というメッセージを伝えて、囲み取材が終了した。
ゲネプロでは、囲み取材でそれぞれが語っていた通り、それぞれが役に真剣に向き合っている様子がしっかりと伝わり、観ている側も“運”や“人生”など、いろんなことを考えさえられる内容となっていた。
11月14日(金)、ついに初日の幕が上がった。上演期間は12月2日(火)まで。川島如恵留の単独初主演作で、アーサー・ミラーの初期の傑作戯曲の日本初演を東京グローブ座でぜひ体感してもらいたい。




<あらすじ>
アメリカ中⻄部の⼩さな町。デイヴィッド・ビーヴス(川島如恵留)は、独学で技術を⾝につけ、⾃宅の納屋で⼩さな⾃動⾞整備⼯場を営んでいる。野球選⼿を夢⾒て懸命に練習を重ねるが、芽が出ない兄。それでも兄に夢を託し続ける⽗。恋⼈のヘスターとは7年にわたって交際しているが、彼⼥の⽗から強く反対され、いまだに結婚には⾄っていない。
だが、ある夜を境にデイヴィッドの⼈⽣は幸運に彩られ始め、⼈⽣の障害は次々に消え去り、ついにヘスターと結ばれる。周囲の⼈々が困難に直⾯する中、続いていくデイヴィッドの成功。しかし、⾃らの⼒でなにかを成し遂げた実感がない彼は、次第に将来への不安を募らせていく。
そして、ヘスターが我が⼦を宿したとき――、その不安はひとつの確信へと変わるのだった。




<公演概要>
すべての幸運を手にした男
作:アーサー・ミラー
翻訳:髙田曜子
演出:リンゼイ・ポズナー
美術・衣裳:ピーター・マッキントッシュ
出演:
川島如恵留(Travis Japan)
花乃まりあ
大野拓朗
古河耕史
駒木根隆介
永島敬三
栗田桃子
内田紳一郎
大石継太
羽場裕一
■公演日程・会場
会場:東京グローブ座 (東京都新宿区百人町3-1-2)
2025年11月14日(金)〜12月2日(火)

■チケット料金
S席11,000円/A席9,500円 (全席指定・税込)
※未就学児入場不可 ※無断有償譲渡禁止・営利目的の転売禁止
※公演中止など、主催者がやむを得ないと判断する場合以外にチケットの払い戻しはいたしません。
■お問い合わせ 東京グローブ座 03-3366-4020
■公式サイト https://alltheluck.jp/
主催・企画製作:東京グローブ座




写真:阿部 章仁
宣伝:キョードーメディアス
